「ナスダック」が指すもの
ニュースでナスダックが上がったと言うとき、そのナスダックはたいてい指数のことですが、もともとナスダックは株式が売買される取引所の名前です。しかも、その取引所の名を冠した指数は一つではありません。ナスダック取引所に上場する銘柄の大半を含むナスダック総合指数があり、そのうち金融業を除いた大きな企業100社だけを集めたナスダック100があります。二つはおおむね似た方向に動きますが、銘柄数も性格も違うため、同じ日でも騰落率は異なります。チャートを見るときは、いま表示しているのがどちらなのかをまず確かめると、的外れな比較を避けられます。この記事は個別銘柄と指数を一緒に見る方法ではなく、指数そのものがどんなルールで作られているかに絞って扱います。
S&P500はどう作られるのか
S&P500は1957年から今のような500銘柄の形で算出されてきた指数で、米国の大型株市場全体を代表する基準として最も広く使われています。名前とは違い、時価総額の上位から500社を機械的に切り取る方式ではありません。
- 指数委員会が企業の規模、十分な取引があるか、収益性などの基準を見て銘柄を入れ替える
- ニューヨーク証券取引所かナスダックかといった上場先の取引所は問わない
- 市場で実際に売買できる株式だけを数えた浮動株調整後の時価総額で比率を決める
- 株式の種類が二つある企業があるため、構成銘柄の数は500を少し超えることがある
ナスダック総合指数とナスダック100
ナスダック総合指数は1971年に100から始まった指数で、ナスダック取引所に上場する普通株をほぼすべて含みます。銘柄数は数千に及び、米国外の企業もナスダックに上場していれば入ります。ナスダック100は1985年に始まった指数で、ナスダック上場企業のうち金融業を除いた時価総額上位100社を含みます。どちらも時価総額加重ですが、ナスダック100は一つの銘柄の比率が大きくなりすぎないよう上限を設けて調整する修正時価総額方式を使います。上場している取引所を基準に選ぶため、業種をまんべんなく含もうとする指数ではなく、その結果としてハイテク企業の比率が大きくなります。
ダウ平均はなぜ株価で加重するのか
ダウ・ジョーンズ工業株平均は1896年に初めて公表された非常に古い指数で、いまは米国を代表する大企業30社を含みます。計算機のない時代に、いくつかの銘柄の株価を足して割る方式で始まったため、今でも時価総額ではなく株価そのものに比例して加重しています。株価の高い銘柄ほど、企業の大きさに関係なく指数を大きく動かします。銘柄の入れ替えや株式分割で指数が急に跳ねないよう割る数(除数)を調整しますが、その結果、分割した銘柄は株価が下がった分だけ指数への影響力も小さくなります。名前に工業と入っていますが、金融、ハイテク、消費財など多くの業種の企業が含まれています。
同じ日に三つの指数が違う動きをする理由
三つの指数はどれも米国の大型株を扱いますが、作るルールが違うので一日の成績も違ってきます。差を生む原因はたいてい次の四つです。
- 業種の構成: ハイテク企業の比率が大きいナスダック系は、ハイテク株が大きく動いた日に差が開く
- 加重の方式: 時価総額加重と株価加重では、同じ銘柄の動きが違う大きさで反映される
- 銘柄数: 30銘柄のダウは、一つか二つの企業の出来事で大きく揺れることがある
- 超大型銘柄への偏り: 時価総額加重の指数では、上位の数銘柄がその日の指数を左右することもある
チャートで見るときの注意点
指数のチャートを読むときは、数字そのものより、その数字がどんな約束の上に成り立っているかを一緒に思い浮かべる必要があります。ダウは指数の値が大きいため一日に数百ポイント動くことも珍しくありませんが、ポイントの変化は指数どうしで比べられないので、必ず騰落率で見ます。ふだん目にする指数は配当を含まない価格指数なので、配当を再投資した結果より低く描かれます。数十年のような長い期間を見るときは、対数目盛りのほうが比率の変化を公平に示してくれます。また、指数の値は通常取引の間に算出されるので夜間の流れは株価指数先物で別に見る必要があり、指数そのものは売買できる商品ではなく、指数に連動するファンドや先物は指数と少しずつずれて動くことがある点も覚えておいてください。
このサイトのリアルタイムツールで確かめる
世界の株価・為替一覧ツールは、S&P500、ナスダック、ダウを他の国の指数と一緒に一画面に示し、期間ごとの収益率も並べて比べられます。株式銘柄比較ツールで三つの指数を選び、同じ日に100へそろえれば、ポイントの大きさの違いに惑わされずに累積の流れや変動率、最大下落率を比べられます。株価指数の暴落と回復の記録ツールでは、指数ごとに大きく下げた期間と回復にかかった時間を確かめられます。ツールの相場はデータ提供元に基づくため、遅れて表示されることがあります。
注意点
この記事は米国の代表的な指数の作られ方を説明する学習資料であり、投資助言ではありません。どの指数や、その指数に連動する商品がよりよいという意味には読まないでください。構成銘柄、採用基準、比率の上限、定期的な入れ替えの時期といったルールは指数算出会社が変えることがあるので、正確な内容は各社の公式資料で確認してください。指数に連動するファンドや先物に投資するときは、手数料や為替、連動のずれといった、指数そのものにはない要素が加わることもあわせて確認してください。
🌍 検索エンジンでさらに調べる
ボタンを押すと、そのエンジンでこのキーワードを検索します